男性の美学溢れるジブリ映画『紅の豚』

紅の豚はイタリアを舞台にしたジブリ映画です。

主人公のポルコは凄腕の飛行機乗りであり、理由は詳細に語られませんが豚の姿をしています。賞金稼ぎとして名を上げながら決して人を殺めないと言う信念を持っている男らしい主人公なのです。

ある時ポルコは一人の少女と賞金を巡って、カーチスと言うアメリカのパイロットと競う事になってしまいます。

フィオと呼ばれる少女は飛行機の設計士であり、空賊に喧嘩を売る事ができるほど勇敢な人です。この大切な少女を守るためにポルコは戦いを決意するのです。

フィオはポルコと共に過ごす中で、かつて彼が見たと言う飛行機乗り達の墓場の話を聞きます。その時、空で戦い続けてきたポルコが背負っている業や思いを知ります。

またポルコは酒場の歌姫として知られているジーナに長年思いを寄せています。しかしジーナはかつてポルコの友人と結婚していた人であり、その後何度か飛行機乗りである夫を空で亡くしているのです。

ポルコはカーチスとの戦いの中で、長きに渡って自身の傍にいてくれたジーナが自分に寄せている好意を知ります。

最後にポルコはカーチスとの戦いに勝利しますが、作中でジーナとの関係がどのように決着したのかは描かれていません。そこが濁されて終る事に作品のロマンが表れているのです。

紅の豚は全編に渡って空でしか生きられない男性達の美学を描いたジブリ映画です。マルコのかつての戦友との友情もしっかりと描写されています。

また、かつて戦争に従事した飛行機乗りである主人公が豚であると言う象徴の中に、人類が繰り返す戦争の罪と罰も表現されています。

それでいて紅の豚は女性の描き方も活き活きとしており、本来男性優位の社会で男性並に活躍する少女やお婆ちゃん達も描写されているのです。「守られる女性像」を描きながら決して受身で生きていない女性のドラマが活き活きとしており、男女平等意識を持って映画作りに臨んでいる監督の心意気を感じさせてくれます。

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